●2005年10月31日の旅●
そのまえに前フリから。 本日の旅の同行者・M子ちゃん(仮名)は江口と中学校時代からの友人です。 同じく当時からの友人で、M上ちゃん(仮名)とM恵ちゃん(仮名)というのがいたわけですよ。仲良し4人組。卒業後もしょっちゅうつるんでは遊んでおりました。 大人になったあるとき。M上ちゃんが突然いいました。
「出雲大社行きたい。行って縁結びのおまもり買いたい」。
いったいいつの頃の発言だったかは覚えていませんが、ハタチそこそこ、学生時代ぐらいの発言ではなかったでしょうか。 あれから月日は流れ、最初の発案者であるM上ちゃんだけがとっとと結婚してどこかへ行ってしまいました。 そしていまだ香川にいる江口とM子ちゃん(M恵ちゃんは大阪で消息不明)。 顔を会わせるたびに出雲へ行こう、いつか行こうと挨拶代わりに交わすようになりました。 しかし江口は知っています。こういう状況になると、もうクチで行ってるだけでたいして行くつもりはないのだということを。 最後に確認しました発言。2002年5月のきょうのごはんに『再来月(7月)に出雲に行く』と言ってます。実現していないのはご存じの通り。
そんな会話を数年繰り返した、今年2005年10月14日。M子ちゃんからメールが届きました。
『10月25日以降、11月20日くらいまでの間で、午前6時30分発の日帰り出雲の旅。行く気あるなら連絡ください。なんか、急に思い立った。』
10月31日で話がまとまってしまいました。 物事というものは、こんなふうに唐突に訪れます。 ちなみに、目的は純粋に旅行。ですが店長には「縁結び?」と聞かれ、友人には「厄落とし?」と聞かれた。江口梨奈、M子ちゃん、ともに30歳、独身。
前日。江口は11時まで勤務の日でした。 翌日は5時半起床か。起きられるかな大丈夫かな。普段の就寝時間だぞこれ。 とりあえずコンビニでリポD買っておいた。 5時半に無事起床。外は真っ暗。辛うじてテレビは放送されているが、海外通販番組ばかりだ。未知の時間。しかしM子ちゃんにとっては日常。あんた、こんな生活しているから体壊すんだ。
6時半です。M子ちゃんのお迎えが来ました。 しかし、どうも様子が変です。普段着です。
「親には、今日の旅行のこと言ってない。普段どおり仕事行くって言って出てきた」
見れば後部座席には通勤カバンが。 たとえて言うなら、天気のいい日、女子高生がふらりと駅を一つ乗り過ごして、本当なら学校で食べるはずのお弁当を見知らぬ街で食べてしまっているような、そんなカンジ? などと喩えることが許されないほどのダイナミックサボタージュ。 大人だから出来ることです。
さて、発車。 Mちゃんの車にはナビゲーションが付いています。 これによると出雲市到着は11時30分ごろ。 およそ5時間ですか。 でもMちゃんは「この時間を縮める」と宣言。急がないから。そんなに急いでないから!!
●出雲大社●
http://www.izumooyashiro.or.jp/
ずっと『いずもたいしゃ』『いずもたいしゃ』って言ってたし、誰にも訂正されなかったので気付かなかったが。『いずもおおやしろ』なんだな。出雲人にとってはこだわりたいポイントなのだろうが、単なる観光客の我々にとっては非常にどうでもいいポイントなので申し訳ない。
香川→島根間の高速道路のことを長々書いていてはいつまでたっても本題に入れないので、そこはダイジェストで。 途中は蒜山I.C.でとまり、乳製品アイテムにココロを奪われたり、野球部高校生団体にプチ切れたり、M子ちゃんがコロッケ食べたり。 道中はえらく霧がでて、前方の視界がまったく塞がれた。これが本州の気候なのかと驚く四国人。 で、高速道路はどこで降りたらいいのだろう。こんな旅行に行くのに下調べをまったくしていない二人。カーナビは便利です。
とりあえず高速を降りて、また有料道路が次々と現れて、どうしたものかと思っていたら前方に出雲大社行きのバスがいたので着いていく。10時40分頃。我々はついに目的地へ到着したのです。
大きな専用駐車場があります。遠慮無くそこに停め、やや小雨状態の中を歩きます。遊歩道のようなところを抜けると、松林がずらりと並ぶ、まっすぐな長い参道が。ツアーの一行なのでしょうか、同じ赤い傘を差している人たちがちらほら。雨に洗われて、清々しいその参道を歩き、鳥居をくぐると、ああ見えました、噂のしめ縄が。みんなが写真を撮っています。もちろん江口も撮ります。デジカメ以外にフィルムカメラも持っていたので、その辺の人を捕まえて「すみません、シャッター押して下さい」を連発する。過去になんどかこういう経験をしたりされたりするが、観光地、誰に頼んでも断られない。たぶん街中だと断られるんだろうな。
さあ、一通り回りました。次はどこへ行きましょう。 おや、まだ向こうにも建物がありますね。行ってみましょう。 細い道を渡ると、先にもなにかありました。
あ。大しめ縄が。
ここへきてやっと、さっきまで江口達が喜んでみていたしめ縄が、本物の大しめ縄でないことを知りました。あそこは拝殿。こっちの神楽殿にあるしめ縄こそ、出雲大社いちばんのメインしめ縄だったのか。 他の観光客達も気付いていないのか。こちら側、人の通りが極端に少ない。カメラを撮って貰おうにも人が来ない。 なので思う存分、しめ縄への賽銭投げが出来ます(賽銭が注連縄に刺さるといいことがあるという言い伝え)。 わずかにいる人たちが一生懸命投げてます。なかなか刺さらないのか、何度もチャレンジします。チャレンジしすぎて他人の賽銭を落としたりしますが、それはそれ。
ようやく人がいなくなりました。では我々もチャレンジしましょう。
‥‥二人とも、1発で刺さったのですが。
コツは、しめ縄の切り口の、外周の方。ワラの隙間が大きめなので、そこに向かって縦に投げる。まあ代わりに落ちやすいかもしれないが。 ちなみに、江口は賽銭はいつも五円(御縁)と決めている。Mちゃんはこういう場所では友人・家族のぶんの賽銭も一緒に入れるので五百円刺したと言った。大丈夫、神は命ある物皆平等と思って下さるわ。
わかりにくいかもしれませんが、これはしめ縄を下から撮ったもの。 断面に硬貨が虫のように点々と挟まっています。 他人様の思いの丈が詰まっている物に対して申し訳ないが、よく見るとかなり気持ち悪いです。 |
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それでは一通り通りまわりまして、ちょうどいい頃合いになったので、お昼ゴハンにいたしましょう。 ここはやはり、出雲蕎麦でしょう。出雲蕎麦食べたい。 どこの店、という目的はないが、その辺の店に行けば蕎麦ぐらい置いているでしょう。香川県だって、適当に歩いていたらうどん屋が山のように見つかるんだし。 というわけで、神社の真正面、観光センターの隣に3軒並んでいたので、そこからチョイス。一番右の店が「手打ち蕎麦実演してます〜」って呼び込みしていたので、せっかく呼ばれたから、と入る。
えーと。Mちゃん。ごめん。 わし、あのときハッキリ言わなかったけど、あの選択失敗だったと思っています。 まず、蕎麦がない。メインに置いてあるものがヒレカツ定食。普通の食堂だった。印刷メニューの間に、店で手作りしたメニューが挟まっている、そこにようやく蕎麦の名前があった。いかん、ここ蕎麦屋じゃなかった! でもまあ、蕎麦専門店ではないが、蕎麦を置いてあるし周りの客も蕎麦食べてんだから、江口達も普通に蕎麦を頼む。Mちゃんは山かけ。江口は天ぷら。
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つゆが黒いー。甘いー。天ぷらの衣、がちがちー。 問おう、島根県民へ。 島根のそばつゆは、これが標準なのか? だったら江口が謝る。何せこちらはうどん文化圏。ツユではなくダシとよぶ、醤油・みりん類をほとんど調味に使わないものに麺を入れて食している。東京の真っ黒いうどんはうどんじゃない、と大阪人のようなことを常に叫んでおります。 これが島根の味なのだと言われたら、それ以上江口からは言うことがない。つまりクチに合わなかったよ、と。 まあ県を3つも越えて山を越えての地なんだ、味付け文化が違うのは仕方ないこと。誰だって自分の住んでいるところの味がいちばん美味しい。 でもこの天ぷらは違うと思う。 | ごちそうさまでした。ついでなので隣の観光センターで土産物を買いましょう。Mちゃんはヒミツ旅行なので、証拠品を残すような真似は出来ないと土産を買い控えています。でも自分用に、鈴の付いたキーホルダーを捜していました。 江口はココで、職場用に蕎麦の実クッキー、自分用に出雲蕎麦、実家用にシジミの佃煮を買いました。そうか、宍道湖って島根だったんだ。まったく意識していなかったよ。
観光し、食事し、おみやげも買いました。しかし時間はまだ1時。これからどこかでもう一回りぐらい出来そうですが、さて、どこへいきましょう。
そしてお覚えでしょうか皆様。 我々の手元には、何一つ観光ガイドがありません。
どこへ行くのよ?
つづく。
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