えぐちず 2

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 ●2006年8月28日の旅●


「俺は真人間をやめるぞー」

 それはいいんだけど、これって元ネタは何なんですか、と尋ねてみた。大元のネタは『ジョジョの奇妙な冒険』で、それをまた別の誰かがパロディにして「真人間」ってあった、でもそのパロった人が誰だったのか、もう彼は忘れている。でも彼は叫び続ける。なぜなら彼は真人間だから。

 というわけで今日の旅のお供の呼称は『真人間』となりました。旅の仲間とかツレとか真人間とか言ってるが全部同一人物。正直、この呼称を毎度毎度決めるのも飽きてきました。てゆうか、こんなことに頭を悩ますのがイヤんなってきた。

 それでは参りましょう。本日の遍路巡礼は、途中で桂浜を挟んでの、高知市周辺札所を攻めていきます。
 まずはルート確認。前回までは南国I.C.下車だったのが、ちょっと足を伸ばして高知I.C.で下車。
 今日は江口が前日の家族サービスの影響でおべんとの準備が出来ませんでした。なのでお昼ゴハンはどこかのお店で、となります。時間的にも桂浜で、となるのではないでしょうか。

 集合時間は9時。出発は9時半。もういつものことなので、わざわざ言うことも無いな。
 ガソリンは満タン、タイヤもばっちり。それでは大野原ICから高速へ入ります。高知に向かってレッツゴー。
 あいかわらず川之江Jctでもたつきます。徳島−高知道が交差するとこで、しかも傾斜があるから、かよわい江口の車では思うように速度がでません。
 実は前回も同じ目に遭い、しかしその日の後半でタイヤの空気が抜けていたので、「きっと前回も、高速に乗った時点ですでにタイヤの空気が抜けていて、それでスピードが出なかったんだ」と思おうとしていたのですが、あっさり否定されました。

 1時間ほどで高知に到着、県道56号方面に向かう道に乗ります。
 真人間ナビによれば、ここからすでに桂浜方面へいく標識が立っているので、それを見ながら進め、とのこと。
 しかし江口は、以前に真人間が言っていたことが気になってました。

 「はりまや橋を通って、桂浜ってルートも出来なくはない」。

 行きたいがな。
 行きたいがな、はりまや橋。
 日本3大ガッカリ名所の、はりまや橋を!!(あと2カ所は知らん。札幌時計台という説を聞いたことはある。)

 具体的にルートを決めていたわけではないのだが、そっち方向から行けなくもない、ということで「行きたいなー」「行きたいなー」を連呼。
 真人間ナビは急遽設定を変更。
 「高知駅方面に右折!」
 了解!!

 我々ははりまや橋を通過するルートを選択。
 次々とはりまや橋を指し示す標識が現れます。
 32号を西に向かって走る、走る、走る。
 もうまもなくです。信号が密集する地点、いくつかの信号を越え、右手に見えるはずです。

 「江口(仮名)さんに悲しいお知らせがあります」。
 真人間ナビがアナウンスを始めました。何でしょう。
 「通り過ぎました」。

 嘘ーぉん!

 がっかり名所に違う方面からがっかりさせられた我々。
 気を取り直して本来の目的地、桂浜へ向かいます。
 適当な交差点で左に曲がり、国道56号に乗り直す。そのまま標識に従うと、『高知桂浜道路』と堂々と存在しているので、それに乗れば一直線。

 右折レーンに乗れんかったー。うわーん。

 いやー。江口、そこそこ運転は出来るんだけど、車線変更って苦手でさ。特に知らない道だとね。
 県道36号(高知桂浜道路)と国道56号に分かれる道があって、56号の方に乗っちゃった。
 ま、ちょっと行ったところで県道34号があるから、それに乗れば大丈夫だから。

 あ、この道沿いに雪蹊寺だ。

 というわけで、目的地変更。
 雪蹊寺に参りましょう。

 

●第三十三番札所 高福山 雪蹊寺(こうふくざん せっけいじ)


木製銅鑼。『ぽこり』と鳴ります。

 さまざまなハプニングに見舞われつつ、しかしこれも旅の醍醐味。
 えーと、ここは道沿いにあります。山門の代わりに石柱が有り、そこに『雪蹊寺』とでかでかとあるので、たぶん誰にも迷いようがありません。駐車場も広く、神社も隣にあり、総合的な敷地もかなり広くきれいな札所です。ご近所さんの散歩コースだったりもするのでしょう、滑り台やブランコなどの遊具もあります。
 晩夏となり陽射しも和らぎはじめたこの季節、やはり遍路をする人も多いのでしょう。お兄ちゃんが経を読み、ツアー客の姿なども見えます。わしらは相変わらず、手だけを合わせて終わらせます。

 さて、ふと本堂の横を見ると、気になるものがありました。

 長曽我部信親公墓所へ。
 ほう、せっかくだから見てみましょうか。
 しかし、この矢印はどこへ向いてますか? 矢印の先に道はなく、建物間の通路の下をくぐる形で、裏手に回らなければならないようです。これであってるんでしょうか?
 とりあえずくぐってみました。
 また建物が。両開きのドアがあり、それは閉まっています。
 墓ねえ。墓はどこでしょう。まだ先へ行くのですか? それともこのドアがそうなのですか? よく分かりません。ここから先は建物同士の狭い間を猫のように通らなければなりません。うっかり進んで、先でおじゅっさんの奥さんが洗濯物でも干している現場に遭遇しては気まずいでしょう。なんだか行きづらいので引き返しました。

 そして納経。
 相変わらず江口の納経帳は乾きが悪いので、納経所に備え付けのドライヤーのお世話になります。

 扇風機だー。

 冷風は乾きが遅いです。
 さあ、今度こそ。今度こそ桂浜へ行きましょう。

 追記。長曽我部信親公墓所。やっぱりその先を猫のように進んだので正解だった。敷地入って直ぐの所に案内板がありました。
 ちなみに両開きドアの建物は納骨堂。開けなくて良かった。

 

●桂浜●


桂浜といえば。

 今度こそ、間違いなく、間違いようもなく桂浜です。今日になって何回言ってるんでしょうか。さあ、地図でも『快走路』と表示されている、海岸線の整備された道路を目指して行きましょう。
 さすがにもう道には迷いようがありません。1本道を、海にぶつかるまでまっすぐ。T字の交差点があり、あとはもう海沿いの道です。
 あんまり手入れはされてない雰囲気です。歩道とか草ボウボウだし。まあ、こんなところを歩く人間ってのがたぶんいないんだと思う。きっと路肩のベンチやら意味不明のオブジェやらは、ちょっと車を止めて海をみようというドライバーのために存在しているんでしょう。そしてこんなカンカン照りの海岸に誰も止まりたくはないんでしょう。
 しかし、もし機会があるなら車を止めて水平線を見てみるのもいいかもしれません。
 目の前に広がるのは太平洋。島が点在する瀬戸内海とは違って、なにもありません。ここを一直線に泳いだとして、最初にぶつかる陸地はどこかと考えたら「南極までいっちゃうんじゃないかなあ」という答えが出てきた。極端な話としてね。
 というオーシャンビューが売り物なのでしょうか。やけにホテルも多かったです。

 そして車はちょっと山道に入ります。大丈夫か。
 大丈夫です。山をぐるっと回って、行き着いた先が『桂浜』でした。

 駐車料金取られますーー。みはーーー。

 くそう、なんでただ海を見るだけでお金取られるんだー、というのは海っ端に住んでいる人間の理屈でしょうか。海ってのはただ水があって砂があってゴミがあるだけの空間で、子供の遊び場であり小汚い泳ぎ場でしかない。なんでそこに行くのにお金がいるのか。有明海水浴場なんかなあ、グラウンドまるごと無料開放だぞ。寛永通宝砂絵(観音寺市唯一の観光スポット)の展望台だって停め放題だ。もっとも、無料にしたところで誰も来ないんだけどね。本当に人の気配がない空間です。土産物屋のひとつもない観光スポットって、逆に珍しいかもしれない。
 話がそれましたが。
 こちらは駐車場が有料になるほど、れっきとした観光名所でございます。浜に降りるまでにずらりと並ぶ土産物屋(2階は食堂だったり)。土佐犬のぬいぐるみが陳列され、闘犬ショーも見られちゃう。ペナントや貝殻を繋げた鍋敷きといった懐かしいアイテムも満載。もちろん、龍馬グッズもてんこもり。水族館ではアシカだかなんだか分からない生物がアウアウ吠えている。

 ステキー。

 なんてステキなベタ観光地。
 何度も言ってますが、江口はベタ観光地が大好きです。
 ああ、バスツアーで観光客が来ています。龍馬像の解説を聞いています。像をバックに写真撮ってます。アイスクリン売ってました。みんなが龍馬を写真に撮ってます。もちろん江口も写しました。
 しかし、でかいな、龍馬像。もっとちっちゃいのかと思ってたんだけどね。カメラのフレームに全体像が入り切りません。

 さて、その龍馬像のある展望台から、浜に降りるための階段があります。
 海に来て海に入らないなんて嘘だろうよ。
 というわけで、波打ち際にまで降りてきました。真人間をやめたりしなきゃいけないしな。

    
いろんな角度からやめてみる我々。

 茶色い服の方が江口であるが、江口の方が波打ち際から遠いのは、前にも言ったが海が怖いから。油断すると死ぬから。外洋は波が高いわ。
 満足したのでコンクリートの堤防の方に戻り、先にある別の展望台(龍王岬)へと移動する。
 その途中で見つけました。

 『警告 この海は突然高波が発生するおそれのある危険な場所です。浜には絶対に降りないで下さい』

 ‥‥ごめん、思いっきり降りてた。てゆうかみんな降りてたから気付かなかった。
 なのでこれから行く予定の皆さん。降りちゃダメだよ。

 反省しつつ、展望台へ。
 ふと見ると、案内看板があります。『→坂本龍馬記念館』
 ほう、こっちから行けるんですか。あんまり行くつもり無かったけど(我々は二人とも、龍馬にまったく思い入れがない)、けっこう近くに来てしまったみたいだから、ついでに行きましょうか。

 大後悔。

 遊歩道はエグい山道でした。段差の激しい階段をあがると、雑木を掻き分けるような道。やっと舗装路にあがったかと思いきや、そこは車道でした。
 たしかに記念館には繋がる道ではある。しかし、浜から駐車場に戻り、車で行く方がよっぽど楽です。というかそっちが正しい行き方です。
 後ろから車がどんどん我々を追い抜いていきます。「なんでこんなところを人が歩いているのか?」と言っているのが聞こえるようです。
 国民宿舎の敷地まで到着したときには、お互い口も利かずに自動販売機にもたれかかりました。

 で、肝心の記念館ですが。

 入館料ひとり\400。なんだかんだと展示。『おーい! 竜馬』のアニメが流されていた。龍馬参考文献を集めた棚の中にも『おーい! 竜馬』はいた。
 龍馬の写真がいっぱいあって、ああ、あの立ち姿以外にもあるんじゃん、とか妙な納得をしていた。
 とりあえず隣の真人間は、歴史好きの人間なのでそれなりに食い付いてはいました。なんて書き方をすると江口が全く食い付いていなかったみたいだが。江口だって分からないなりに好きですよ、こういうの。結局長居したし。

 しかしいいかげんお腹も空いてきました、いつまでもココにいては本来の目的を達成出来ません。そろそろ出発しましょう。
 歩いて駐車場までいきます。
 何かもう疲れ切って、土産物屋を堪能する気力もありませんでした。
 早々に車を出し、次の目的地へ向かいます。

 車道を走っていると、雑木林から出てくる人を発見。きっと彼らも案内板に騙され、記念館を目指しているのだろう。がんばれ。先は長いぞ。

 長くなりつつあるので、次のページへ。

 

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余談。NHK教育でここしばらく、『趣味悠々』で四国遍路のどーのこーのをしている。我々はまったく作法を無視しております。いろいろゴメンナサイ。なんとなく。

 


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『えぐちず2』は、『江口梨奈のすてきページ』のいちコンテンツです。

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